Fallout76
- 夢咲刻夜
- 2018年11月19日
- 読了時間: 11分
よしまずは聞いてくれ、今Fallout76を全力で楽しめている幸運な君は回れ右だ
という前触れでおわかりいただきたいが今回の記事は心を鬼にして書く、Fallout76を楽しめなかった人が書く記事なのでその辺りはご了承いただきたい。
また基本的にはソロプレイに重きを置いたレビューではあるが、「マルチなら楽しめるし!」って方はどうぞ一度4人でババ抜きでもしてもらいたい、きっとこのゲームを楽しめる4人ならババ抜きでも楽しめるでしょう。
Fallout4から数年が経ち噂通りオンライン専用というゲームになった今作、発売まではあのFallout4のような世界+オンラインであればこれはもう約束された神ゲーになることは間違いないと思っていた。
だがいざ出された料理の蓋を開けてみると、ひどく味付けの合わない調味料で料理されたランチでしかなかったし、それどころか食材すら劣化しているのだからたまったものではない。
まず今作一番の残念な点はNPCの中に人間が1人たりともいない事。
これにより今まで敵として存在していたヒャッハー!なレイダーと言われるならず者集団も死体として転がっているだけ、あまつさえ今まで当たり前のようにできていた装備品を剥ぎ取ることもできなくなった。
この今までできた当たり前ができないというのもいつもならこの店はおかわり自由だったのに…という小さな減点が入ってくる。
Falloutシリーズは決して時代の最先端をいくグラフィックで描かれるロールプレイングゲームではなかったが、それでも人、グール、ミュータント、ロボット、etcが織りなす荒廃した世界に存在する奥深いストーリーを追い求める楽しみがあった。
同社のSkyrimなどをプレイした人ならわかると思うが、何気なく歩いている時に
「当ててやろうか誰かにスイートロールを盗まれたかな?」
などと突然意味のわからない事を言ってくるNPCすら全て排除されている。
店の中を盛り上げる音楽家とも言えるNPCがいない訳だからこれを退屈と思わない訳がない。
一応人からの伝達はあるにはあるが、それも残されたメモ、音声テープだけである。
ここから考察するのが楽しいというのは無論このゲームの魅力だが、
そんなものは過去作でも当然存在したいたのでそこが問題ではない。
その上で存在していたものが失われた事が問題なのである。
勿論、その代りと言ってロボット達はしぶとく生き残っており人語を話してくるが、
所謂機械ボイスで「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、いらっしゃいませ」と同じようなノイジーな会話にならない音を延々と聞かせてくる。
"人は過ちを繰り返す"
このゲームで最初にお約束のように聞かされる台詞の通り、過去作では一番恐ろしく愚かなのは人間と言わんがばかりに様々な勢力が破茶滅茶になった世界で結局それぞれの思想をもった上で睨めっこを続けている。
その世界をプレイヤーという駒が良くも悪くも引っ掻き回すのが魅力だったのだ、
ここは逆に4で主人公に返って主張性があったのが嫌だったというところも踏まえてなのかもしれないが、個人的には明瞭な目的の用意された4のほうが余程良かったと思える。
後述するがこの人間同士の争いを恐らくBethesdaは今回はNPCでなくプレイヤー同士でやってほしい!と思ったのだろうがそんなことができる土台がないのだから無理な話である。
言ってしまえば過去作ですらFalloutシリーズは"単調なおつかいゲーム"だ。
それでも多くの人を魅了してきたのは壮大なロールプレイングがそこにあったからであり
それが今回は薄味になったのだから残念と思わない訳がない。
今作から挑戦的とも言えるオンライン専用の部分に注目してみても、
これがメリットとなってる部分よりもこれが大幅なプレイヤーストレスとなってる点があまりに多すぎるのだ。
今までは比較的賢いBethesdaの敵AI(同社販売のRAGE)などもオンラインになったせいか敵を見つけても棒立ちの状態で動かない、撃ってもラグなどのせいか弾が貫通する、プレイヤーを見つけても訳のわからない方向に走り出すなど、ただでさえチープだったシューター要素が酷い仕上がりになっているのだ。
更にそのチープなシューター要素を盛り上げる点だった「V.A.T.S.」システムが大幅に改悪されてしまったのも大きな理由だ

この作品を知らない人に簡単に説明すると、このシステムを使うと今までは戦闘中にプレイヤーはスローモーション(作品によっては一時停止)にでき敵キャラクターのどの部位を撃つかなどを選択できる(画像参照)
例えば足を撃ち移動力を失わせる、武器を持ってるのであれば腕を狙い戦闘力を奪う、当然頭を狙い大ダメージを狙うのもいい。
それがFalloutを他にないシューターゲームとして評価されていた点でもあるのは言うまでもないはずだ。
しかしなんと今作では一応システムとしては存在するがまずオンラインである環境の為、当たり前だがスローモーションや一時停止にすらならない。
当然スローなどにならないのだからおちおちと部位を狙う余裕などないとこれまた酷く改悪されてしまっているのだ。
またこのシステムを使い敵をKILLすると特殊なカメラ演出が入り、爽快感を与えてくれていたのだがそれも当然今回はなくなっている。
こんな炭酸の抜けたコーラのようなものを出されたのだからこちらとしはガッカリでしかない。
さてまだまだオンラインストレスは存在する。
前作Fallout4からプレイヤーは広大な世界に拠点を自由にクラフトできるようになった。
昨今のサンドボックスの流行りにのったシステムを取り入れながらもFalloutの世界観にあった荒廃した世界ならではのジャンクで組み立てた家などを建てることができたのだ。

核の炎で焼き尽くされた世界に自分の秘密基地を作りそこに生活する楽しみなどはうまくこのゲームにマッチしており、この建築にはまってしまってストーリーを進めることを忘れてしまったプレイヤーもいたのではないだろうか?
勿論この好評だったシステムは今作にも受け継がれているのだが、
今回はみんなで共用する世界に拠点を作るため、まず個人で展開できるスペースが酷く狭い
この時点で大規模な拠点を作る楽しみがあったプレイヤーはガッカリだろう。
そしてこれも大きな減点要素だが上述したようにオンラインである為プレイヤーはワールドを共有する。
このワールドという概念が非常に残念で今まではオフラインゲームであった為ワールドの中に家を建て、またゲームを再開すれば当然自分の家のあるワールドに行くためそこに自分の建てた家は存在する。
しかし今回はそうはいかない。
今回はゲームを終了すると基本的にワールドから切断され、次にゲームを再開したときには同一のワールドからプレイができないのである。
この時点で「は?」となるだろう。
例えばワールドAのA地点に自分が家を建てログアウトしたとする、しかし次にログインしたときにはワールドBのA地点である。
更に再開したワールドBのA地点にすでに別のプレイヤーが家を建てていると自分の家は撤去されているのだ(ポケットキャンプというシステムがありそこに一応建てていた家は収納される)。
確かに今回はどこにでもクラフトできる!を売りにしたキャンプというシステムで家を持ち運ぶことが出来るとは言え、やはり公園の砂場で自分で必死に作った砂のお城を明日見に行くと違う人が作った砂のお城が経っているのは残念ではないだろうか?
もう一つこのゲームにはキャンプシステムとは別にプレイヤー1人だけが占拠できる拠点が存在する、こちらは貴重な資源や水などを大量に取得できる他、キャンプ以上に大規模な拠点をクラフトできる。
さて感の良い人なら気づいたと思うが、プレイヤー1人だけが占拠できるということはその拠点を当然奪うこともできるのだ。
勿論これはPVPが存在するゲームである以上、それを盛り上げる要素としては歓迎したいものだ…が!これがまたとにかくこのゲームと相性が悪い。
まあ丸一日脳死した状態でずっとその拠点でぼーーーーーっとして素材を集めるのも一つかもしれない、しかしこのゲームにおいては結局はメインとなるのは広大な世界の冒険だ。
だが拠点を確保したプレイヤーは常に冒険したくともいつ襲われるかわからない拠点を気にしながら冒険しなくてはならず、挙句の果てにはプレイヤーだけではなく拠点を防衛しろ!とどこにいても発生するクエストまで容赦なく襲ってくる。
その度に新しいエリアに赴いていても休日出勤よろしく!拠点に帰らなくてはならない。
追い打ちのようにそのシステムを腐らせているのがこの記事を書いている時点では発生しているサーバーからの切断、ゲームのクラッシュ(ちゃんとこの記事を書くに辺りPCのみならず現状PS4でも頻繁に発生していることは調べている)である。
繰り返すが今回はワールドが無数に存在し、基本的にはそのワールドには帰れない。
防御不能のクラッシュをうけると先程まで丹精こめて作り上げた拠点はたちまち新しいワールドに入ると運がよくてもまだ誰も取得してないワールド、運が普通では人の占拠しているワールドである。
それが数回も続くとたちまちこのゲームに愛想もつきてしまう。
尚、先程これが貴重なPVP要素とは言ったがぶっちゃけ上のシステムを利用すればひたすらワールドチェンジを繰り返し他人の占拠していないワールドに入ってしまえばそれで終了である。
わざわざデメリットを被ってまでそんなことをしたがる人は意外といないものだ
これは様々なオンラインゲームでも実はPVPは本質的にユーザーがそこまで求めていないという結果が多々でていることから明白である。
結局Bethesdaであっても最近のゲームにありがちなオンラインもつけたけど整合性が取れていないゲームに成り下がってしまったというのが勝手ながら残念だ。
MMOを経験したユーザーであれば広大ではありながらもすかすかなMAPに25人程度の人数しかない世界にガッカリもする。
それでもフレンドでなくともワールド内の人間が同じであれば、すれ違ったAさんが次にINしたらレベルがめっちゃ上がってて、装備もすごいの持ってるとうぉー!Aさんすげーなぁ!オレも頑張るか!ってなるが、ゲームを起動する度に全然毎回知らない人のいる別世界に飛ばされるのだから没入感なんてないようなものだ。
最近のすぐ嫌な事があると逃げ出したくなるユーザーに合わせてなのか醍醐味とも言える他のプレイヤーが核を撃って特定エリアを汚染してもぷつっと切断してワールドをうつれば何の問題もない。
これでは撃った側も、ゲームの中だからこそ出来る憎まれっ子な魔王役になりたくても実際はただただ嫌がらせをして友達が減った悲しい人にしかなれない。
その結果薄っぺらいただ広大な世界に空気を読み合う人が歩いているだけという世界の出来上がりだ、ある意味で実に現実的な世界かもしれないがそんなものはゲームに求めてはいないのである。
細かな点までついてしまうが、
・重量制限が異常に厳しい
長くプレイすることが前提のオンライン仕様なのに、逆に重量制限が異常なまでに厳しい為結局自由に育成できるステータスも所持重量が上がる筋肉ビルド推奨になってしまう。
他のステータスを上げても上述したV.A.T.S.システムがお通夜のせいでそれが伸びるステータスに振る魅力がないのも後押ししているように思えた。
挙げ句拠点ボックスにすら重量制限があるのは正気の沙汰とは思えない。
狙った素材のアイテムだけを持ち帰るのが理想だが、一見トレー一つでもアルミ製なのかどうか分かりづらいゲームでそれをするのも大概ではないだろうか?
・敵の種類が異常に少なく感じる
実際過去作でも実はそこまで種類が多いわけではなかったが、プレイした限りではひたすらどこにいってもいるのはゾンビかたまにミュータント、そして不意打ちで音を鳴らして襲ってくるモグラくらい。
結局これもレイダーやその他勢力の人間エネミーが消えたことに原因はある。
そしてレイダーから装備を剥げないかわりに何でお前がそれ持ってんの?と不自然にアイテムを抱えさせられたエネミーも違和感を募らせるようになってしまった。
・PVPに配慮した結果生まれた欠点
PVPを嫌がるプレイヤーが実際の所多いのはすでに述べたとおりであるが、これに配慮したのが他人に発泡されたとしてもやり返さなければダメージは軽減されるといったシステム
一見これだけを見ればよく配慮されてるように思えるが、実のところやり返せないだけで延々と追いかけ回されるという事態も全然発生するのだ。
そしてそれが嫌なら切断してワールドチェンジという手段しかない。
核の落ちた世界でたくましく頑張っていきよう!をモットーにしているゲームなのに嫌なことがあれば楽な道を取るしかないのはどうかと思う。
そしてレイダーロールをしたいプレイヤーも満足にレイダーロールも出来ず、何も面白みのない世界がまたしても出来上がりだ。
まだまだ挙げていくとねちっこい姑の如くでてくるが、兎にも角にもひたすらにただでさえ実際の所今までも時代遅れながらも人々を魅了してきたBethesdaゲームだが、今回ばかりは時代の波に取り残された正真正銘の時代遅れのゲームになってしまったのが残念なところ。
勘違いしないでもらいたいが、決してBethesdaのアンチではなくむしろ贔屓しているくらいだ。
それだけにFallout76は残念でしかなかった。
言ってしまえば合わなかっただけの一言で済まし、次回作に期待すればいいだけの話なので
今一度
"人は過ちを繰り返す"
この言葉を次回に持ち越さないことを祈り、これからも応援していきたい。
ここまで長々とネガティブな文章を読んでくださりありがとうございました。
細かい指摘ですが今作敵の種類は割と多い方だと思います。プレイしている限りではスコーチやモグラ人間、劣化デスクローのヴァンディゴ、グラフトモンスターに虫類やfalloutには珍しい空飛ぶ敵のスコーチビーストなどがいましたよ。